子育て中のお母さんへ~食育のススメ~
- #スタッフのつぶやき
授乳から始まって離乳食、そして幼児食といったように、子どもの成長とともに食べるものも変化してきます。その中で新米ママとしてよく耳にするのが食育という言葉ではないでしょうか。
そこで今回のコラムでは、子育てで重要な食育についてお話ししていきます。
食育ってそもそもどんなことをすればいいの?
食育とは、農林水産省のホームページによると下記のように定義されています。
「生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものであり 、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てることです。」
具体的にどのようなものなのか、次から見ていきましょう。
食育とは、子どもたちにふさわしい食習慣に取り組むこと
食育とは、子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身につけるように、家庭や教育現場で行う取り組みのことを指します。これは、肥満や痩身傾向など子どもたちの健康を取り巻く問題が、偏った栄養摂取や朝食欠食などの食習慣の乱れによって、引き起こされているからです。
例えば、問題のある食習慣として、次の5つの「こ食」が挙げられます。
・孤食…一人で食べる
・個食…自分の好きなものを各々が食べる
・固食…自分の好きな、固定したメニューしか食べない
・小食…食べる量が少ない
・粉食…パンやパスタなど粉を使った主食を好む
こうした食習慣を改善するために、2005年には食育基本法が、2006年には食育推進基本計画が制定され、子どもたちにとってふさわしい食習慣に取り組むことを目指すようになりました。その中心にあるのが食育です。
厚生労働省が2004年に示した「保育所における食育に関する指針」では、食育が目指す目標として次の7つを挙げています。
1.年齢相応の食具が使え、マナーが身についている
2.食事のリズムができている
3.食べたいもの好きなものが徐々に増えている
4.食べ物を話題にする
5.食事作り、準備に関わる
6.親や親戚など周りの大人と一緒に食べたいと思える
7.上手に噛むことができる
ただし、子どもの成長には個人差がありますので、ここに示しているのはあくまでも目標です。この指針を参考にして、子ども一人ひとりの成長に合わせて目標を定めるようにしましょう。
食育に上手に取り組む3つのアイデア
では、保護者としてどのように食育に取り組むといいのか、当ステーションで推奨している3つのアイデアを紹介いたします。
「三角食べ」をしてみる
まず簡単にできる方法として、「三角食べ」を実践してみることです。三角食べとは、ご飯だけを食べる、おかずだけを食べるというのではなく、ご飯を食べたらおかずを食べて、そして汁物を飲むというように順番に食べていくことです。
食べる量は同じですから、体の中に入る栄養自体は変わりありません。しかしそれぞれを咀嚼しながら口の中で混ぜ合わせて調味することで、味の楽しみが広がります。子どもは好きなものばかりを好んで食べたがりますがその改善にもなりますし、偏食を減らすこともできるのです。
保護者の方が率先して実践することで、子どもも真似をしていき、それが普通の食べ方になっていくはずです。
食に関わる簡単なお手伝いをしてもらう
子供にとって親のお手伝いは社会と関わりを持つ入口でもあります。そのため簡単なものからお手伝いをしてもらうことによって、脳にも刺激が伝わりますし、できたことによる達成感で情緒の安定にもつながります。つまりお手伝いは子供の成長に欠かせないものなのです。
特に起きてから朝食までのあいだにする食事に関するお手伝いがおすすめです。脳への刺激が多くなり、目が覚めることもわかっているからです。
具体的にはトマトのヘタとりや子供用ピューラーを使っての皮むきなど、卵焼きのタネを混ぜたりといったこともいいですね。苦手な野菜がある場合も、簡単なお手伝いをすることで食べられるようになることもありますので、積極的に関わってもらうようにしましょう。もちろん、できたことを認め、褒めてあげることも忘れずに。
食のプロセスに関わらせ、食への意識を高めていく
子供の成長を促すにはちょっとした知識も必要です。特に覚えておいて欲しいのが、脳の中にある扁桃体の役割です。この扁桃体では「安心かどうか」で好きか嫌いかを判断しています。つまり「安心」と判断できると、好きになり、美味しく食べられることもあるのです。
そこでお手伝いをして積極的に食に関わらせてあげることで、食べ物の安全性を判断してより身近に感じてくれるようになります。例えば、家庭菜園への水やりをしたり、買い物に行って野菜を選んでもらったり、味見をしてもらう、などです。
こうして親と一緒に食に関わることで、食への意識を高めていくこともできます。
食育の注意点
食育に取り組む上で注意してほしいのは、子ども一人ひとりの発達や発育は異なるということです。特に乳幼児期は同じ年齢でも発達が早い子もいれば、遅い子もいます。ですから他の子と比ベて、焦ったりすることのないようにしましょう。タイミングや目標はあくまでも目安です。
特にお子さんを育てていく中で、親として困ってしまうのが偏食です。偏食があると、食育もスムーズに進まないからです。
一般的に偏食とは下記のような状態をいいます。
・食事の量にムラがある
・特定の食材や調理方法等限定されており、食べ方にこだわりがある
・調理方法や食べ物のかたちが限定されている
・口腔機能(噛む・舌の動き・飲み込む)
・環境(場所・人等)が変わると思うように食べられない
この偏食は、栄養状態、口腔機能、感覚、発達の特性など原因が一人ひとり異なります。この原因によって対応の仕方が違いますので、無理に食べさせるようなことはやめましょう。
無理矢理食べさせても、食べることへの嫌悪感が残り、反対にマイナス効果です。前述したアイデアを実践していく中で自然に食べ物に関わらせ、長い目で見て食べられるようになるのを待つことが重要です。
ただし、心配なことがあれば、積極的に専門家に相談してみましょう。食育に関することであれば、小児科医や歯科医師、看護師、栄養士、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士などのセラピストなどが、あらゆる専門家が相談に乗ってくれるはずです。
番外編:子どもと一緒に外食ができるタイミングは?
食育に関することで保護者の方からよくご質問を受けるのが、子どもと外食ができるようになるのはどのタイミングでしょうか、ということです。そのポイントは3つほどありますので、次から見ていきましょう。
ポイント1:幼児食に切り替わったあたりの時期
時期としては幼児食に切り替わったあたりが目安です。ただし、離乳食が終わる頃にはうどんやごはんなどの炭水化物であれば食べることができますので、そうしたメニューがあるお店を選ぶとお子さんと一緒に外食することができます。
ポイント2:はじめは和食でチャレンジ
メニューとしては和食をおすすめしています。離乳食から食べ慣れているからです。ポイント1で紹介しましたが、うどんやごはんなどであれば、おうちで食べるのとそれほど変わらずに食べられると思います。
ポイント3:大人の料理を取り分けて
最初はお子様ランチよりも大人の料理を取り分けてあげることを推奨しています。お子様ランチは栄養バランスがいいというよりも、子どもが好きな料理が並んでいることが多いからです。栄養バランスを考える場合は大人の料理から取り分けてあげましょう。もちろん、生ものやアレルギー性のないものを、また小さいうちはうまく消化できない揚げ物は避けるのがベターです。
無理はしないで、お子さんにふさわしい方法で食育を
小さな頃に身についた食習慣はなかなか変えることができないと言われています。保護者の方ができるだけ知識を持って、お子さんにふさわしい食育に取り組むようにしましょう。
ただし無理強いは禁物です。子どもの成長はそれぞれですから、そのタイミングに合わせて取り組むようにしましょう。
もちろん当ステーションでも食育に関するご相談を受け付けております。アドバイスや指導も行っていますので、ぜひご相談ください。