産後うつはこんな症状。周りの人がかけてはいけない言葉とは?
- #スタッフのつぶやき
赤ちゃんが生まれると、赤ちゃんを中心とした新しい生活が始まりますが、ママにとってはストレスがたくさんあります。産後で精神が不安定なことに加えて、育児に対する悩みや戸惑いによって産後うつになってしまうママたちも少なからずいます。
そこで今回のコラムでは、どういう症状が出たときに産後うつを疑うべきなのか、また周りの人たちはどのように対応するべきなのかをお話していきます。
1.産後うつが起きる原因とは?
現代病とされるうつ病ですが、世界的な広がりを見せています。世界のうつ病患者は3億人を超え、そのうち年間80万人が自殺していると2017年にWHO(世界保健機構)が発表しています。この中で特に注目しているのが、「青年期」「妊娠出産期の女性」「高齢者」の3つのグループに対する取り組みが特に必要だと提言をされた点です。世界的にみても、妊娠や出産によってうつ病を患う女性が多いということなのです。
一生のうちに一度以上うつ病にかかってしまう女性は12人に1人とされており、これは男性の2倍に上っています。女性にうつ患者が多い理由は、女性ホルモンの変動が関係あるとされており、特に出産をすると女性ホルモンがほぼゼロになることが研究によってわかっています。
女性なら誰でも経験したことがあると思いますが、生理前後の変動でさえイライラしたり、集中力が維持できないといった状態になることがあります。それなのに産後に女性ホルモンがほぼゼロになるなんて知ると、気持ちの変動が起きやすいということを理解するのは容易いのではないでしょうか。
また産後の心理的変化には3段階あるとされ、下記のように推移していきます。
・産後1~2日…出産の疲れや痛みが取れ、赤ちゃんに巡り会えたという幸せな気持ちに満たされます。
・産後3~10日…育児への意欲が湧く反面、女性ホルモンの減少によりなぜか心が落ち込みます。マタニティブルーとも言われる時期です。
・産後1ヵ月…マタニティブルーは10日間ほどで終わり、母親としての役割を受け入れて赤ちゃんを育てることに自分の生活を整えていきます。
症状の差はありますが、マタニティブルーを経験するママは全体の約8割と言われます。自然に消えていくものですが、中にはこのような産後の過程をうまく乗り越えられないママもいるのです。
女性ホルモンの減少に加え、「母だからやらなければ」という思いがストレスになってしまうのです。しかも、周囲からのサポートも受けられないことで、ストレスがより溜まってしまいます。そして産後うつと疑われるような症状が現れてしまうのです。
2.産後うつかもしれない方に現れる症状とは?
産後うつの症状の現れ方や、どのような症状が現れるかは個人差がありますが、代表的な症状は下記のようなものになります。
・疲労感
・不安感
・緊張感が解けない
・パニックになる
・イライラする
・希望を持てない
・集中力や記憶力の欠落
・気分が変化しやすい
・せかせかする
・自分を情けなく思う
・食欲がなくなる
・赤ちゃんや夫に愛情を感じられない、など
こうした症状が出てしまい、さらに悪化すると自分を責めたり、自分には価値がないと感じてしまいます。すると「私よりもパパの方があやしかたが上手」「パパの方が好かれている」といったように自分を卑下してしまいます。こうした思いが自分に向かうと消えたくなったりしますし、赤ちゃんに向かうと育児を放棄したり、暴力などを用いて虐待してしまうのです。
ちなみに、産後うつについて世界と日本を比較すると、下記のような状況になります。
産後の自殺してしまう女性の割合(出生10万人対する統計)
イギリス&ニカラグア(2015年)…2.3
スウェーデン(2015年)…3.7
東京(2016年)…8.7
日本は核家族世帯が多く、近隣家庭とのコミュニケシーションも希薄になりやすいといった社会的な背景が、こうした数字に現れているようです。
3.周りが気をつけるポイント
産後うつになりやすいのはママは常に子どもと向き合っているため、孤立感を感じ、ひとりで考え込んでしまうのです。そこで周りの人が気をつけるポイントを紹介します。
厚生労働省の「平成28年度子ども・子育て 支援推進調査研究事業 産前・産後の支援のあり方に関する調査研究」の中で、「妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル」というマニュアルを公益社団法人日本産婦人科医会が作成しています。この中で、見逃してはいけない産後すぐのママの言葉や表情として、次のことを挙げています。
・上の空でぼんやりしている
・なんでもないことで涙ぐむ
・目を合わせない
・おざなりな返答をする
これらに加えて、自殺や虐待をほのめかす発言は見逃してはいけないとしています。
また、言ってはいけない言葉としては、「がんばれ」「なせばなる」「あなたのためです」「どうして◯◯しなかったのですか?」といったことを取り上げています。これらは現在の自分の姿を否定する言葉に受け取ってしまうからです。
一方、「あなたに◯◯であって欲しい」といった主体的な言い方や、「どうして◯◯したのですか?」という肯定的な表現を使うことを推奨しています。
4.どんなサポートが必要なのか
ママが孤立感を感じないようにするためには、周りの方のサポートが欠かせません。ひとつの言葉で傷ついたり、安心したりしますので、下記の例を参考にしてください。
・子どもの反応を一緒に感じてあげる
・産後のママの大変さを理解する
・「しっかり」や「がんばって」などの言葉を言わない
・できないことは、できる人がするようにする
・ママにならなくていい、一人の時間を作ってあげる
・家族とは別の居場所を作る
・話を聞いて、認めてあげる
・弱音や愚痴を聞いてあげる、など
周りが接する際に大切にしなければいけいことは、お母様のつらい気持ちを理解することと、子どもの成長や反応を分かちあうことが重要です。自身で育児をする限界を感じているため、一緒に子どもと向き合ってくれる人がいるだけでとても心強いのです。
5.OHANAはママの気持ちに寄り添います。まずはご相談を
前述したように産後うつは、約8割のお母さんが経験します。つまり、誰がなってもおかしくないのです。産後に気持ちが落ち込んだり、集中できないなど、いつもとの違いを感じたら無理をしないでお母様やパパ、友人などに不安を話してみましょう。
特に現在はコロナ禍にあり、友人と会う機会や青空の下で過ごす時間なども減ってメンタルの不調に悩んでいるママはたくさんいます。当ステーションには出産経験のある看護師や保健師、精神保健福祉士などがおり、ママの気持ちに寄り添ってアドバイスをさせていただいています。ぜひご相談ください。